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『こんばんわ素敵なおチビさん…なんか、僕らよく似てない??』
男の優しい声で猫は我にかえる。
男は寒さに震えてる
今までの静寂が嘘の様に、男を威嚇し、毛を逆立たせ。
腕の中で必死にもがく。
男 ヨシヨシ と動じないで猫の頭を撫でる。
『寒かったのか??ビックリさせてごめんな』
頭を近づけた。
猫はここぞとばかりに引っ掻いた。
腕からの脱出を果たした猫は…逃げた。
プライドを威厳を抱え、孤独を自ら選び また 逃げた。
走って、走って、走った。
孤独という「逃げ道」へ走った。
くじけたくなかったから…これまで「孤独」にこそ魅力を感じ、誇って来た自分が。
「優しさ」を「温もり」を求めるのが嫌だったから、走って…逃げた。
しかし、行動とは裏腹に猫の頭には、すでに変化があった。
一度感じたあの、母の様な感覚。
無論、猫は母の温もりを知らない…だからこそ
『さっきのは…??』
猫自身もその変化に気づいていた。
だからこそ、猫の頭は猫の体に命じた…
『振り返れ』
…そこには、男がいた、散々逃げた猫を必死に追う絵描きがいた。
『見ぃ~付けた、ビックリするじゃないか~』
中腰で息を切らしながら話す男が、猫の目に映る。
引っ掻かれた傷をさすっている男
猫を抱き上げる男
無抵抗の猫
猫の頭の中で奇跡が弾けた。
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