新世界

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そう… あの時代は本や教科書で語られてる様な、生温い世界じゃない。 昨日笑ってた仲間が今日は冷たい骸に成り果ててる事もあれば 明日は自分が骸に成り果てるかもしれない… 何の記憶もないこの子が… 耐えれるはずがない… ―殺さなきゃ殺される…― 平和惚けした現代人が… 『ー…い…葵!』 『え…?何か言った?』 いつの間にか深く考え込んでいたらしい。 『手ぇ動かせって言ったクセに葵も動いてないじゃん!』 詩乃が少し膨れてみせる。 『…私はもう終ってるの。あんたと違って。』 手元にまとめてあるレポートを詩乃の前にちらつかせる。 『みして!』 『嫌。自力でしな。』 満面の笑みで詩乃がお願いのポーズをして見せたが、葵はあっさり拒否した。
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