第二章

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「そ、それじゃ。和馬…さん…。これで、良いでしょうか?」と、言って弥生は顔を赤くして俯いた。 「ええ。それで、構いませんよ。」と、和馬は微笑みながら言った。二人は、あの楡の木の下に着いた。 「今日は、御馳走様でした。」と、弥生は言った。「いえいえ。気にしないで下さい。それで、今度は、いつ会えますか?」と、和馬は言った。 弥生は、少し考えていた。「そんなに、お休みが取れませんから…。」と、弥生は言った。 「そうですよね…。僕も、軍の仕事があるし…。そうだ!会える日時を、この楡の木に書くというのはどうでしょう?」と、和馬は言った。 「この楡の木にですか?」と、弥生は不思議そうに言った。 「ええ。僕の都合の良い日と弥生さんの都合の良い日を、この楡の木の幹に書くんです。どうでしょう?」と、和馬は言った。 「そうですね!それなら、またお会い出来ますね!」と、弥生は言って微笑んだ。 「僕は、この木に都合の良い日を印します。もし、無理なら無理と書いて下さい。それと、弥生さんの都合の良い日も書いて下さいね。」と、和馬は言った。 「はい!分かりました!場所は、この楡の木の下ですね?」と、弥生は言った。 「そうです。僕は、出来るだけ見に来る様にします。弥生さんも、そうして下さい。」と、和馬は言った。 「はい!毎日でも、見に来ます!」と、言って弥生は微笑んだ。二人は、そこで別れた。 和馬は宿舎に、弥生は家に向かった。弥生が家に帰ると、母親は寝ていた。弥生は、急いで母の昼の支度をした。 空襲警報も無く、辺りは静かだった。(早く、平和になって欲しい…。)弥生は、心から願っていた。 第二章 完
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