第三章

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「あ、あの…。私からも、出来るだけ差し上げる様にします。でも、和馬さんからもお手紙下さいね。」と、弥生は恥ずかしそうに顔を赤らめながら言った。 「分かりました。僕も、出来るだけ手紙を出す様にします。」と、和馬は微笑みながら言った。 「和馬さんに、こんな事を言ったら怒られるかもしれませんが早く戦争が終わって欲しいです。」と、弥生は言った。 「別に、怒りませんよ。僕も、この戦争が早く終わって欲しいと思っています。」と、和馬は言った。 「そうですよね。和馬さんも、私と同じ考えで良かった!」と、弥生は安心した様に言った。 「では、帰りますね。」と、和馬は言った。「はい!今日は、有り難う御座いました。」と、弥生は微笑みながら言った。 和馬は、手を振って宿舎へ向かった。宿舎に着くと、自室に入った。畳に寝転び、弥生の事を考えた。 「福島か~。遠いよな~。」と、和馬は呟いた。だが、弥生逹の安全を考えたら疎開した方が良いに決まってる。 和馬は、ふと寂しくなった。弥生の、八重歯が覗いた笑顔が頭に浮かんだ。 翌日、会議室には空軍、海軍、陸軍の将校逹が集まっていた。今後の事を、話し合う為だった。 それぞれ、所属は違うが皆一緒に戦っている仲間なのだ。「このままでは、硫黄島や沖縄にも敵が攻めて来るかもしれない。」と、海軍の将校が言った。 「やはり、本土決戦か?」と、陸軍の将校が言った。「いや。それは、絶対に駄目だ。罪もない、一般市民を犠牲にする事になる。」と、和馬は言った。 皆、黙って考え込んでしまった。敵軍の、本土への上陸…。何としてでも、それだけは避けたかった。 和馬の脳裏に、弥生の笑顔が浮かんだ…。その頃、弥生は疎開の為の準備をしていた。 母も、手伝ってくれていた。父と兄の写真も入れた。(今頃、父と兄は何処でどうしているのだろう…?無事で、いるだろうか…?)と、弥生は考えていた。 「お父さん逹、どうしているのかね~?」と、母が呟いた。弥生は、黙っていた。そして、荷物の整理を続けた。 和馬逹、将校の話し合いは続いていた。陸軍は、本土決戦も止むなしと言っている。 海軍は、硫黄島の手前で敵を防ぐべしと言っている。和馬は、どうすべきか悩んでいた。
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