第三章

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空軍は、どう動けば良いのだろう?今までに、戦闘機を何機も送り込んでいた。しかし、戦果はあがっていなかった。 弥生は、母と一緒に荷物を持って家を出た。「この家とも、暫くお別れになるんだね~。」と、母は言った。 この家は、父と母が一生懸命に働いて建てた物だった。弥生にも、多くの思い出があった。 「大丈夫よ。戦争が終わったら、また帰って来る事が出来るわ。」と、弥生は言った。そして、母の肩を抱いて駅へ向かった。 駅は、疎開する人逹で、ごった返していた。弥生は、母と手を繋いだ。はぐれては、大変だったからだ。 人波に、揉まれながら福島へ向かう汽車に乗り込む事が出来た。汽車に乗ると、人で一杯だった。 弥生は、母の手を握り締めた。(和馬さん…。どうか、御無事で…。)と、心の中で呟いた。 「おい、田之倉。空軍は、どう動くんだ?」と、里田が言ってきた。「分からない。どうすれば、良いのか…。今、考えているんだ。」と、和馬は言った。 「このままでは、本当に本土決戦になってしまうぞ。」と、里田は言った。和馬は、黙っていた。(弥生さん…。もう、福島に向かっているだろうな…。)と、和馬は考えていた。 第三章 完
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