第四章

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和馬も里田も、黙って考えていた。新型兵器の噂も気になるが、この先、どう戦っていくのか?正直に言って分からなかった。 和馬は、煙草に火を付けた。続いて、里田も煙草に火を付けた。二人は、ゆっくりと煙を吐き出した。 和馬は、弥生の事を考えていた。(戦争が終われば、また会える。)と、思っていた。 まるで、出口の無い迷路に迷い込んだ様だった。陸軍は、本土決戦を考えている様だ。しかし、それだけは避けなければならない。 一般市民を守るのは、軍人の務めだと和馬は思っていた。日本は、この先どうなるのだろうか…? 和馬には、分からなかった。里田も、同じ事を考えている様だった。 毎日の様に、会議が司令部で行われていた。空軍、海軍、陸軍の将校逹が集まっていた。 だが、皆どうすれば良いのか分からなかった。陸軍だけが、本土決戦も止むなし!と声高に言っていた。 しかし、和馬逹他の将校逹が猛反対した。敵を、日本本土に上陸させる訳にはいかなかったからだ。 「日本国民は、一億いるんだぞ!一億総決起すれば、アメリカなんか恐れるに足らん!」と、陸軍の将校は言った。 「貴方は、日本国民に死ねと言うのか!?そんな真似は、出来ない!」と、和馬は言った。 「その通りだ。敵が、本土に近付く前に倒してしまえば良い。」と、里田は言った。皆、考え込んでいた。 「現在、敵はどの辺りにいる?」と、総司令が言った。「硫黄島の近辺です。」と、一人の兵士が答えた。 「もう、そんな所まで来ているのか…。」と、総司令は言った。 すると「本土決戦が無理なら、硫黄島か沖縄で敵を迎え撃ちましょう!」と、陸軍の将校が言った。 「そうだな…。」と、総司令は呟く様に言った…。 「弥生ちゃん!お向かいさんから、お饅頭を貰ったよ!お食べなさい。」と、言いながら伯母が来た。 「えっ!?こんな時でも、お饅頭があるの!?」と、弥生は驚いて言った。 「東京じゃ、全然見なくなったものね~。」と、母は言った。 「ここは、田舎だからさ。」と、新聞紙に包まれた饅頭を差し出しながら伯母は言った。
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