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戦争は、終わった…。だが、この先人々は、どうやって生きていけば良いのか?その答えは、誰にも分からなかった。
人々は、先ず瓦礫の片付けを始めた。和馬逹軍人も、それを手伝った。皆、黙々と作業をしていた。
「兵隊さん!」と、小さな男の子が声を掛けてきた。和馬は、振り向いた。
「負けちまったものは、しょうがないよ!元気を出そうぜ!」と、その子は言った。
「ああ、そうだな…。」と、和馬は言った。「また、最初からやり直せば良いじゃん!」と、その子は言った。
「また、最初からか…。」と、和馬は言った。その通りだった。
今、しなければならない事は人々の生活の確保だった。それに、あちらこちらにある遺体も処理しなければならなかった。里田が「フーッ」と、大きな溜め息をついた。
弥生は、和馬の事が気掛かりだった。無事だろうか?怪我は、していないだろうか?
今すぐ、飛んで行きたかった。だが、汽車の切符は簡単に取れないだろう。弥生は、空を見上げた。
翼が、あったら…。本気で、そんな事を考えていた。
「弥生ちゃん。東京に、行きたいんだろう?切符は、伯父さんが何とかしてあげるよ。」と、伯父は言った。
「本当ですか!?」と、弥生は目を輝かせて言った。「ああ。鉄道会社に、知り合いがいるんだ。その人に、頼めば何とかなるかもしれない。」と、伯父は言った。
「是非、お願いします!」と、弥生は伯父に頭を下げて言った。
「ああ、分かった。でも、直ぐには無理だよ。何日か掛かるからね。」と、伯父は言った。「はい!」と、弥生は頷いた。
和馬は、瓦礫の町を歩いていた。ふと気が付くと、あの楡の木の所へ来ていた。楡の木は、残っていた。
幸い、空襲でも奇跡的に焼けなかったのだろう。それを見て、和馬は何だか元気が出てきた。
町は、また造れば良い。人々と、力を合わせれば必ず出来る!こんな事で、挫けられない!日本は、必ず蘇る!
軍人も一般人も無い。今は、皆で力を合わせる事が必要だった。和馬は、進んで片付けをしていた。
先ずは、食料の調達だった。幸い、ここは商店街だったらしく色々な店があった。
皆で、食料を捜した。やがて、十分とは言えないが食料が集まった。一般兵逹が、炊き出しを始めた。
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