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「どうしよう?和馬さん、何処にいるのかしら?」と、弥生は呟いた。そして、思い出した。
あの楡の木の事を…。「そうだ!楡の木!あそこに行けば、何か分かるかもしれない!」と、言うと弥生は楡の木に向かって走り出した。
暫くすると、楡の木の下に着いた。弥生は、注意深く楡の木を見た。
「あっ、あった!」と、弥生は思わず大きな声を出した。そこには、和馬の字が刻んであった。
弥生は、和馬のいる場所に向かって走り出した。
「はぁ~。満腹って訳には、いかないが食べられるだけ、ましだよな。」と、里田は言った。
「そうだな。でも、日本は必ず蘇る!いや、僕達の手で蘇らせるんだ!」と、和馬は言った。周りの皆も、頷いた。
「そうだ!挫けてなんか、いられないぞ!」「皆で、力を合わせて頑張ろう!」
「きっと、また立派な町を造れるよ!」と、皆口々に言った。
弥生は、息を切らしながら走っていた。やがて、何人かの人逹が集まっているのが見えた。
(もしかして、あの中に和馬さんが…?)そう思うと、その人逹に駆け寄った。「和馬さん!」と、弥生は大きな声で言った。
そこにいた、皆が振り向いた。その中には、確かに和馬の顔があった。和馬は、驚いていた。
弥生は、持っていた荷物を地面に置くと和馬に飛び付いた。
「和馬さん!無事で、良かった!本当に、良かった!」と、弥生は涙を流しながら言った。
すると、和馬と親しくなった親子が立ち上がった。「弥生!弥生じゃないか!?」と、父親の方が言った。
「お父さん!お兄さん!無事だったの!?」と、弥生は驚いた様に言った。
「えっ!?じゃ、この人逹が貴女のお父さんとお兄さん!?」と、和馬も驚いて言った。
「それじゃ、こちらの将校さんの恋人って弥生だったのか!?」と、兄は言った。弥生は、顔を赤らめた。
「やだ、恋人だなんて…。恥ずかしいわ…。」と、弥生は言った。「母さんは?どうしてる?無事か?」と、父は言った。
「ええ。福島の、伯父さんの所にいるわ。」と、弥生は言った。
「そうか、それは良かった。お前逹の事が、ずっと心配だったんだ。」と、兄は言った。
「私達もよ。お父さん逹の事を、心配していたわ。」と、弥生は言った。
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