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「僕は、構いませんよ。お休みは、いつですか?」と、和馬は言った。
弥生は、ちょっと考えてから「明後日が、休みです。」と、言った。
「では、明後日にしましょう。僕の方は、比較的自由が効きますから。そうだな~昼頃で、どうでしょう?一緒に、飯でも食べましょう!」と、和馬は言った。
「はい!私なんかが、御一緒して良いのなら。」と、弥生は言った。
「じゃ、決まりですね。明後日の昼、この楡の木の下で。」と、和馬は微笑みながら言った。
弥生は、にっこり微笑んで頷いた。そして、家へと帰って行った。和馬は、その後ろ姿を見送った。その後、宿舎へ戻った。
宿舎へ戻ると、他の兵士逹が不思議そうな顔をして和馬を見ていた。「おい!田之倉!」と、和馬は声を掛けられた。
振り向くと、同期で同じ将校の“里田 隆”(さとだ たかし)が立っていた。
「お前、何か良い事でもあったのか?顔が、にやけてるぞ!」と、からかう様に言ってきた。
「えっ!?そ、そうか!?べ、別に何も無いよ!」と、和馬は慌てて言った。
「駄目駄目。嘘をついたって、顔に書いてあるぞ!さては、町で可愛い女の子でも見付けたか~?」と、里田は和馬を肘で突っついた。
「そ、そんな事は無いさ!」と、和馬は言って逃げる様に自室へ向かった。
自室に入ると、和馬は畳に寝転んだ。「明後日は、また弥生さんに会えるんだ。」と、呟いた。
自然と顔が、ほころぶのが自分でも分かった。(戦争が終わったら、堂々と付き合えるな…。)と、そんな事を漠然と考えていた。
第一章 完
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