第一章

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「僕は、構いませんよ。お休みは、いつですか?」と、和馬は言った。 弥生は、ちょっと考えてから「明後日が、休みです。」と、言った。 「では、明後日にしましょう。僕の方は、比較的自由が効きますから。そうだな~昼頃で、どうでしょう?一緒に、飯でも食べましょう!」と、和馬は言った。 「はい!私なんかが、御一緒して良いのなら。」と、弥生は言った。 「じゃ、決まりですね。明後日の昼、この楡の木の下で。」と、和馬は微笑みながら言った。 弥生は、にっこり微笑んで頷いた。そして、家へと帰って行った。和馬は、その後ろ姿を見送った。その後、宿舎へ戻った。 宿舎へ戻ると、他の兵士逹が不思議そうな顔をして和馬を見ていた。「おい!田之倉!」と、和馬は声を掛けられた。 振り向くと、同期で同じ将校の“里田 隆”(さとだ たかし)が立っていた。 「お前、何か良い事でもあったのか?顔が、にやけてるぞ!」と、からかう様に言ってきた。 「えっ!?そ、そうか!?べ、別に何も無いよ!」と、和馬は慌てて言った。 「駄目駄目。嘘をついたって、顔に書いてあるぞ!さては、町で可愛い女の子でも見付けたか~?」と、里田は和馬を肘で突っついた。 「そ、そんな事は無いさ!」と、和馬は言って逃げる様に自室へ向かった。 自室に入ると、和馬は畳に寝転んだ。「明後日は、また弥生さんに会えるんだ。」と、呟いた。 自然と顔が、ほころぶのが自分でも分かった。(戦争が終わったら、堂々と付き合えるな…。)と、そんな事を漠然と考えていた。 第一章 完
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