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その典雅は近衛府の、左近少将の職に着いていて、将来を嘱望(しょくぼう)されていました。
左近少将典雅は都で名の知れた公達(きんだち)です。実力・家柄・器量・人柄のどれを取っても欠点はなく、年頃の姫君を持つ貴族の方は左近の少将こそ婿に、と望んでいるそうです。
しかし典雅にはのんびり屋なところがあり、なかなか結婚が決まりません。
母君も典雅の将来に気を揉む一方で最愛の息子の結婚には複雑な思いがあり、典雅は現在も独身なのでした。
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