約束‐1

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「それ、買うの?」 朋美の左手にある少女漫画を指差す。 質問の答えはなく、ぷい、と顔を反らされる。 間違いなく拗ねている。 周りを見るとまだこちらを見ている客がいる。 不特定多数の人間がいる場所で驚かせたから、恥をかいたと思っている? いや、この場合正確には“友人に恥をかかされたと思っている”かな。 どちらにしても、機嫌は悪くなったみたいだ。 「ね、朋美………」 とりあえず謝らなければと思い、再び背中を向けた朋美に話しかける。 答えはない。 やっぱり怒っている。 肩を叩いて、振り返ってもらおうと声を出そうとした時………。  
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