約束‐1

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「わーっ!」 目の前の顔がいきなりこちらを向き、声を上げた。 流石に予想していなかったので、いっ、と意味不明な呻きを洩らしてしまう。 きっとすごい顔をしてたんだろう、私を見て朋美が大笑いしている。 すぐにわかった、やり返されたんだ。 「あっはっは。すごい顔ー」 「………騙された」 「騙される方が悪いんだよ。つーかお互い様だからー」 笑いながら切り返された。 確かにその通りなんだけど、認めるのはなんか癪だ。 またすぐにやり返してやる………そこまで思って、また視線を感じた。 見ると、周りの客から好奇の目、冷たい目、呆れた目………色んな種類のそれが向けられていた。 当たり前だ。 本屋でこれだけ騒げば注目もされるし反感も持たれる。  
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