立花 紫織

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自分の初めて感じる不思議な気持ちに、少々戸惑う。 いつも通りの挨拶をし、ばぁちゃんがいる306号室に入る。 「おや、陸。よく来たね」 毎回同じような言葉。 でも、 心から安心する言葉。 そうだ ばぁちゃんに話してみよう。 と、口を開こうとした瞬間 「陸。なんかあったのかい?」 「え…?」 「いやなんか、悩んでるみたいだったから」 ばぁちゃん。 つくづく…すごい。 これといった会話もしていないのに、心の中を、読み取られてしまう。 俺は、ばぁちゃんに素直に全てを、明かした。 時々、うんうんと相づちを打ってくれていたが、それ以外は何も言葉にしなかった。 俺が話終え、数秒間の沈黙の空気が流れる。 その沈黙を破った一言が俺には、衝撃的だった。 「アンタ…好きなんだね、その子」
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