会話

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「…部屋…ここなの?」 驚いた。 「そうですけど…?」 こっちに振り向きながら、整った顔を向ける。 その仕草に、ドキッとしてしまう。 顔が赤くなっていくのが分かり、慌てて視線を反らす。 それにしても…神様がいるかどうか分からないが、いるなら心の底から感謝したい。 だって… 「この部屋…俺のばぁちゃんの部屋の…隣だよ?」 「本当!?やったね♪」 嬉しそうにはしゃぐ、少女。 部屋に入り、扉を閉める。 「そこ…座って?」 と、置いてあったイスを指差し、自分もベッドに入って、座る。 そして彼女が、口を開く。 「私は、立花 紫織(たちばな しおり)。1992年生まれの16歳。あなたは?」 「え?えっと…瀬川 陸。16歳だよ」 「16なんだ!?じゃあ同い年だね!!」 とっても嬉しそうに言う、紫織。 一つ一つの動作に、鼓動が高鳴る、陸。 この時、まだ気付いてはいなかった。 自分の紫織に対する気持ちが、“興味”から“恋”に変わっていたことを。
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