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コンコン、と2回のノック音の後、中からどうぞ、という透き通った声が聞こえたので、中に入る。
「元気か?」
「元気だよっ」
まるで昔からの幼馴染みのような会話。
これが、つい数日前に出会ったばかりなのだから、驚く。
紫織が、口を開く。
「今日、検査があってね?中々順調なんだって!」
と、嬉しそうにはしゃぐ、紫織。
「そりゃよかった。早く退院できるといいな」
とごく普通の会話。
それがあっという間に30分経った時。
ガラッと、ノック音も無しに、1人のスレンダーな体型の女性が入ってきた。
誰だろう?見たことはあるな…。
そうやって過去の記憶を振り返っている間に、紫織が驚いたように言葉を発した。
「お母さん!?」
「…お母さん!?」
あぁ…我ながら馬鹿だなと思うよ。
びっくりしてつい口に出しちゃうなんて。
ほら見ろ、紫織の母親もちょっと引いてんじゃねぇか。
「こ、こんにちは。なるほど…あなたが陸君ね」
ん?
なるほど…?
「あ、あの…。初めてで失礼なんですが、なるほどとは…?」
「ん?あぁ、紫織ったらね、いつも…」
「あーああーあああああ!!」
そこで、いつになく、必死に母親の言葉を遮る。
あまりに紫織の必死さに少々、驚く。
いつも…何だ?
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