11人が本棚に入れています
本棚に追加
「お兄ちゃん、遅いんだよ!」
「しゃあねぇだろ?委員会があったんだから」
今、病院に向かって歩いている。
横には、妹の舞。
舞は2コ下の中学生。
兄の俺が言うのも変だが、結構モテると思う。
手紙とかを持って帰ってきてるのを何度か見たし。
かと言って、どこぞの漫画みたく、恋愛感情など全く無い。
妹が横にいる、ということは、当然、紫織の所へは行かない。
変に騒がれても困るしな。
今日は、ばぁちゃんオンリーの見舞いだ。
10分程歩き、病院の扉が開き、中に入る。
「あぁ、なんかお兄ちゃん待ってたら、疲れちゃった。遅れた代わりにジュース奢ってよね?」
「えぇ…なんで…」
「つべこべ言わない!」
「はぁ~…」
舞は一度言うと他人の言うことは聞かない、という超頑固者だ。
こいつに旦那なんてできねぇだろうな、と心の中でそっと呟く。
いつもの自動販売機に着き、舞の指差した物を買う。
紫織の好きなブドウジュース…じゃなく、普通の炭酸だ。
舞は、年齢の割りには、どこか大人っぽい雰囲気がある。
周りから見れば、普通のカップルに見えたかもしれない。
陸は気付いていなかった。
カップルに見えるかもしれない、2人の姿を、呆然と見ていた少女が居た事を。
最初のコメントを投稿しよう!