出会い

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ウィィン、と静かに自動扉が開き、受け付けの女性に尋ねる。 「あの…一昨日運ばれた田中 みどり(たなか みどり)って何号室でしょうか?」 田中は母さんの、旧姓。 「306号室です」 透き通った声で言われ、受け付けの女性に軽く会釈をし、階段で向かう。 本来ならば、部活動がある時間帯なのだが、俺は空手を習っていて、部活動には所属していない。 故に、空手が無い日には自由な時間が多い。 かと言って、他の友達は、部活動をしているため、友達と遊ぶ事は出来ない。 そんな時、暇つぶしに通っているのが、ばぁちゃんの家だ。 ばぁちゃんは、面白い話から怖い話、感動する話まで、何でもしてくれる。 だから、ばぁちゃんの家に行って、話を聞くだけで、いつの間にか時間が過ぎる。 空手が無い日は、ほぼ通う俺を、嫌な顔一つせず、いつも笑顔で出迎えてくれる。 そんなばぁちゃんが、俺はもちろん、舞も大好きだ。
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