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コンコン、とノックをし、
「入るよ」
と声をかけ、病室に入る。
ここは一人部屋だ。
どうしても一人がいい、ということで、一人部屋になった。
理由はよく分からないんだけど。
「おや、陸かい。よく来たね」
ばぁちゃんの笑顔を見て、大した事は無いんだな、と心底ホッとする。
「具合はどう?」
「大丈夫だよ。本当に陸も舞も心配症なんだから」
当たり前だよ。
健康体とは言え、歳が歳だからな。
もしもの事も、ある。
「あんまり無理すんなよ?ばぁちゃん一人の体じゃないんだから」
「分かりました。舞にも同じ事を言われたよ」
ははは、と笑い合う、2人。
そこで、30分ほど、ばぁちゃん節が炸裂した。
面白い話が始まったのだ。
なんだか、常に笑っていた。
学校で嫌なことがあっても、ここに来れば、全て洗い流してくれる。
そんな安心感が、ばぁちゃんにはある。
そこでコンコンとノックの音がなり、病室の扉が開く。
「あら、陸。来てたの。今日は早いのね」
「今日はたまたま早く終わったんでね」
「朋美、遅いじゃないの」
母さん、朋美(ともみ)の登場だ。
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