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一瞬の躊躇もなく、一目散に自動販売機に向かう。
迷う事なんて、無い。
それには、訳がある。
実は半年前に、陸も一度この病院に入院しているのだ。
と言っても病気になったわけではなく、空手で運悪く骨折をしてしまい、2週間、入院したのだ。
今となっては、懐かしい思い出。
ただ、そこに未だ自動販売機がある事に、確信は無い。
曲がり角が、見える。
そこを曲がれば…。
「あった」
いつも利用してた、自動販売機。
「やっぱ…場所は変わってなくても中身は変わってるよなー」
半年前とは全く違い、種類も多種多様。
何を買おうか…。
ここで選択を誤れば、これからの数時間は、ブルーなテンションで過ごさなければならない運命となる。
だからと言って、一度飲んだことあるものでは、どこかつまらない…。
なんて大袈裟、且つとっても小さな悩みと闘った末に、
「これで、いっか」
と、至って普通のブドウジュースを買った。
ガコン、という音と共に、落ちてくる。
それと同時に、ボタンに赤い光が灯る。
そう、“売り切れ”だ。
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