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「眼科かぁ。俺さ! 視力はマサイ族並にいいから自信あるぜ!」
「そうですか」
「うんうんマジで。一番小さい奴まで見えっからさ」
「それはよかったですね!」
ぴしゃりと言い放った後、俺をキッとキツい目付きで睨む。
まるで、黙れ。とでも言うように。ああ。この娘は言葉じゃなくて、目で語るのね……と、妙に納得。
だったら俺も! 的な感じで、名前は? と、アイコンタクト!
でも、彼女はもう俺を見ていなかった。なんなんだよこの娘!?
俺はため息を吐いた後、口を開く。
「なぁ。名前くらい教えてくれよ。マジで今日は飯だけだからさ」
俺の言葉にピクッと反応する彼女。そして、語尾を強め
「今日は?」
と、これまた凄味を放ちながら言い放つ。
やべっ……まずった。
「あっ。いや~。ははっ。言葉のあやってやつ?」
はははっ。と、渇いた笑いで誤魔化す。
が、彼女はそんな俺に目をくれることもなく背を向け
「失礼します!」
と言うと、駅の方へ向かって歩き出す。
「ちょっ……! 待てよ!」
「花田 歌穂です! 名前! これで充分ですか? でわこれで。あまりしつこいようなら、警察に行きますから!」
うっ……
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