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「そんじゃあお疲れさまでしたー」
「おお。そのパンパンな袋。店長に見られるなよ」
「はい。つうことで退散!」
俺はチーターよりも機敏な動きでバイト先のコンビニから脱出した。
ちなみにどっちかつうと俺はガゼル型だ。スタミナには意外と自信がある。知らない方はサバンナへ。乙です。
時刻は午後の五時。冬も近くなり、日が落ちてきた。俺はとりあえず、近くの店の喫煙所で煙草に火をつけた。
「なんだか日を追う毎に喫煙者は肩身が狭くなってるよな……」
とか、誰もいない寂しい喫煙室の真ん中で呟き、仕事終わりの一服にうっとり。
半分ほど吸ったか? 火をつけて二、三分の出来事だった。
目に入った光景。相変わらず凄まじい人混みの中に、一輪の華とも言うべき人物。
栗色の長く綺麗な髪の毛。すらっと高い身長に豊満な胸。細く長い足に、目を疑うほど整った顔立ち。美人? いや、違うね美神と書いてびじんと読む。そう思うほどに、綺麗な女が……いた。
やりてー!
今考えればスゲー馬鹿な理由で、俺は煙草を灰皿の中に捨てて、急いで近寄って行ったんだ。
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