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「ちょっと!」
後ろから声を掛けた。いつもならここで、テキトーにおだてて――
「なんですか?」
「あっ。そのっ。えっと……」
なんていうんだろうか? 純粋無垢? そんな感じの声。人を疑うことを知らないような幼くもなんだか大人びいていて、優しくて甘い声。
「あのぉ。何か用ですか?」
「あっ。うん!」
俺……何してんだ?
つうか、女と話してテンパるなんて中坊じゃあるまいし……
久々の超上玉。スーパーベリーボール?
英語にするとそんな感じ。これは逃したくねえなぁー。なんて冷静に考えつつも、もう頭ん中真っ白。
何こいつ……可愛すぎ。
「すみません。急いでるんですけど」
「えっ? あっマジで? 何の用事で急いでるの?」
俺……なんて図々しいんだろう。
「買い物です。と言うか、ご用件は? 居酒屋のキャッチとかなら、お断りです」
キャッチって……そんな俺軽く見えっか? まあ、実際軽いけども。
ただ、ショック。
っておい! バカですか!? 俺は! 何ショック受けてんだよ! 一夜限りだよ!? ワンナイトカーニバルだぞ!? 別に一回やれればそれでいいんだし、何よりこの娘押しに弱そうだし、うん。単刀直入。
「えっちしようぜ」
親指をグッと立てたと同時に、パシンッ! おっ。いい音鳴ったな~。とか考えてたら、頬が痛くなりました。
そして
「最低っ!」
って、なんか真っ黒なオーラを出しつつ物凄っい俺を睨み、その女性は消えていきました。
それが、俺と花田 歌穂の出逢い。
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