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「どもっ」
そう正面から声を掛けると、その女は一瞬目を見開いた後、露骨に嫌な顔をする。
うぅ。めげないめげない俺!
と、自分に克を入れていたのに、その女はスタスタと歩いていく。
「ちょっ!」
シカト!? 酷くね!?
だが、めげずに俺はまたその女の正面に回り込む。
「待ってって」
そう言うと、ようやく立ち止まり、一睨み。うっ。眼力強いのね……
「なんですか?」
凛とした態度で言う女。どうでもいいけど、スーツ似合うなー。
「あのさっ。昨日はごめん!」
「はい。わかりました。でわ」
そう言うと、またさっさと歩いてく女。
ちょっとー!
なんですかそれ!?
まだ用件は済ましてないですよ!?
「待てよ!」
ちょっと強めに言う。それにビビったか。女はビクッと震える。
やばっ……
「あっ。ごめん。その……あのさ。お詫びって言ったら何だけども、飯食べに行かない? あっ、もちろん俺の奢り!」
さあ! 食いつけ食いつけ! 私は牛丼で鯛を釣ってみせましょう!
が、俺の期待虚しく、女は、はぁ? みたいな顔をすると
「生憎ですが、自分の食事くらい自分で賄えるので」
と言い放つと、またさっさと歩き出す。
なんなのあの娘ー!?
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