一(はじめ)

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一(はじめ)

大正4年(1915年) 9月28日ー 東京都 本郷区真砂町三十 少し大きめの古い木造の和風の家、そこの縁側を歩き、縁側の部屋へ向かう、ひとりの男がいた。 勉 「父さん!朝ですぞ!起きなされ!!」 男は部屋を開けた。 そこには仏壇に背を向け、座布団を何枚か重ね、正座している老人がいた。 勉 「起きておったのですか…おはようございます!父さん!」 老人 「………………」 勉 「…??」 男は、何回か老人に話しかけたが返事が無かった。 男は不思議に思ったが、すぐに異変に気付いた。 勉 「おい!!!い…医者呼べ!!!みどり!!」 男が去ろうとした時… (いい人生だった…) 男は立ち止まり、ビックリした顔で振り返った。 しかし、男はすぐに優しい顔に変わり老人の方へ深々と頭を下げて言った。 勉 「…今までお疲れ様でした…」
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