嫉妬

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池村愛子(いけむらあいこ)は高校二年生。 実家は東京だが、親戚に家に下宿して、通学している。 成績はそれなりのランクで、人当たりもよく友達も多いほうだ。 「愛子ー、帰り何か食べてかない?」 「うん、いいよ。パフェ食べたいから、ファミレスにしよ?」 「オッケー」 クラスメートから誘われては付き合い、また愛子から誘うこともしばしば…。 パフェを食べながら話題にすることと言ったら、やはり恋愛事が主だろう。 「ねぇ、愛子…高岡先輩に、告ろうかと思うんだけど…」 「え、佐里(さり)…とうとう決心したの?」 「で、でもまだ勇気が出ないっ!けど遠くから見てるだけじゃ何も進展しないしっ!ど~したらいいの~~」 「うん…部活も入ってないし、学年が違うと、なかなかキッカケがねぇ」 「そうでしょー!ね、ね、愛子ならどうする?告る?やめる?」 よほどテンションが上がったのかクラスメートの佐里は、スプーンを殆ど空に近いパフェグラスの中で無造作にかき回している。 「う…ん、難しいな。出来れば何かキッカケ掴んで知り合ってから、がいいけど…」 「だ~か~らぁ~そのキッカケがないんだっば!!」 「だよねぇ…」 そんな堂々巡りの会話が何回続いただろうか。 結局、結論は出ないまま…いつもの事である。 家に帰れば、携帯メールで続きのやり取りをすることもあった。 「そう言えば、愛子は好きな人いないの?」 その日はメールではなく、電話で会話の続きをしていた。 気持ちが落ち着いてきた佐里は、矛先を愛子に向けた。 いつも話の聞き役だった愛子から、そういった話を聞いたことがないことに、気づいたからだ。 「あ、私?…特にいないよ」 「そっかぁ…じゃ、もしできたら教えてね?」 「オッケー」 口調だけは明るいが、愛子の表情は少し曇り微苦笑を浮かべていた。 ーーその時、愛子の部屋の外から声がかかった。 「愛子ちゃーん、電話よー!」 叔母の呼びかけに、愛子は「はーい」と返事を返し、佐里には謝罪をして携帯を切った。 実家の両親からだろうか… 電話の相手を思案しながら、愛子は保留になっている受話器を取った。 「もしもし…」 「あ、池村?俺…水人(みなと)だけど」 「えっ!?」 電話の相手は、クラス委員の水人明(みなとあきら)だった。 軽い性格で、ナンパなところもあるが、委員長をやっているあたり、人望もあるので教師受けもいい。
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