沢山の想い

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こんな会話がほぼ毎回続いて、何とか思い当たる節を口にして難を逃れ続けたある日、先輩は「で」以外の話を切り出してきた。 「藤原って子、変な子やな」 「ブッ・・・」 突拍子もなく何を言い出すんですか、先輩。 「でも、何やろー。私、あの子憎めへんわー」 「あー・・・ハハハハハ」 気持ちの入らない笑いになってしまった。 リナも、いまいち藤原さんって理解出来ひんねんもん。 「でも、あいつすっごいな」 「ですよねー」 「「何でも出来る」」 先輩と声が揃った。 「でも、藤原だけ名前で呼びにくいねんけど・・・」 「うちらも、呼べないんですよねー・・・藤原さんってしか」 「そもそも、皆名前知ってんの?藤原の」 「・・・・・・り・・・」 何やっけ? そう言えば、気にした事なくて、自己紹介の時に聞いた気はするけど・・・思い出せん。 リナ、人の顔と名前覚えんの結構得意やのに・・・。 ちょっと変わった名前やったような気もするんやけど・・・。 「明日までに調べておきます」 「オケー任せたー」 リナって! リナって、ほんま先輩に従順やわーー。自分でも泣けてくる位に。
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