母校

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[テル・早く学校来い。あっちゃん] [テル・待ってるぜ。タカ] [テル・何やってんだ?マサ] [テル・ばぁか。りょう] 《テル・あっちゃん・タカ・マサ・りょう!卒業しても俺達はずっとダチだぜ。1998》 「マジかよ?」 溢れる涙を堪えきれず壁を殴りつけた。 10年前に書かれた落書き。消そうと擦った痕はあるが、はっきりと見えるあいつ等の字。 裏切ってしまったと思ったのは俺だけであいつらはずっと友達だと思っててくれたんだな。 「くそっ」 やるせない気持ちが抑えきれなくて、また壁を殴り付けた。 「ごめんな。ありがとぅな」 ぽつり呟いた。 その時、あることを思い出した。 舞台の倉庫につづく階段に確か… 俺はそこに走り出した。走ったせいと冷たい風のせいで少し噎せたが 「やっぱり!」 目に映ったのは板作りのドアに彫られた文字だった。 [祝・卒業!1999・3] その文字の下にそれぞれのメッセージが彫られてた。そこには俺の名前だけが彫られメッセージだけが欠落してる。 もう誰も見ないであろうその場所に持ってたペンで『ありがとぅ』とだけ彫った。
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