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「何であんな事言ったの?」
「…………」
言い返す事はしない。
可愛くて繊細で、か弱くて守ってあげたくなるタイプのトモ。
一匹狼で誰かと連むのが嫌いな不良みたいな俺が初めて本気で惚れた相手だった。
当時、つき合ってた恋人と別れたばかりだった俺は正直、乗り気じゃなかった。友達の紹介でなければ断ってただろう。
そんな俺に告白したのはトモの方で、つき合っていく内に俺の方が惚れていった。
2年半。高校の時の2年半という年月は長くて積み上げてきた物は大きく感じた。
俺がトモを守る為についた、たった1度の嘘のせいで全てを壊してしまった。
弁解はしない。いや、出来ない。嘘をついた結果、トモを傷つけた。
責められて罵られても何も言えない。
『ごめん』
この一言さえ、プライドが邪魔して言えなかった。
「もう、終わりにしよう」
「わかった。」
この一言で、全てを失った。
この2年半で築いた二人の軌跡も愛の形も…
何故、謝れなかった?何故、引き留められなかった?後悔だけが残って終わった恋。
これでもモテないわけじゃなかった。トモの存在があっても告られる事もあり、「別れて」と
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