君を好きになった瞬間

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受話器の向こうの君に泣いてることを悟られないように平然を装ってた。そうすることしか出来なかったから。 けど君は気づいていたね。そして優しい君は優しい声でこう言った。 「ごめんな?泣かせるつもりはなかったんだけど。声震えてるからさ。ごめんな。」 何度も何度も君は謝り続けた。 今までの私は告白をして振られたら直ぐに立ち直れた。 けど、今回は何でだろう。直ぐには立ち直れないみたいだよ。 それはきっと君を心から好きになってしまった特別な心だからなんだろう。 私は無言になってしまったよ。 振られることは分かってたはずだった。 返事も何となく分かってたはずだった。 けど諦めたくない気持ちと受け入れたくない気持ちが私を無言にしたんだ。だけど君は電話を切らなかったね? 私が落ち着くまで 何か話すまで無言で電話は繋いだままだった。 落ち着いて私は君に言った。 「こっちこそごめん。今日は深夜にありがとう。」って。それだけ言って私は少し笑って見せた。 電話だから顔は見えないのに笑って見せたんだ。そして無言で電話を切った。 部屋に響いていたのは、雨の音と私の泣き声だけだった。
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