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「俺は…俺は…お前を生かして連れて来いと言われたんだッ!!!」
「それ、さっき聞いた」
男は、続けた
「そして、こうも言われた…もし…無事にお前を連れて来なければ………殺す…と」
男は、目頭を震わせ言った。
「………ふ~ん」
カケルは、興味が無いのか、鼻の穴に指を突っ込んでいる。
「なぜだ!!」
「なにが!!」
「なぜ!!…なぜ組織を裏切ったお前が生かされ!ボスの側近である俺が殺されなければならない!!」
「………」
カケルは男から目線をそらし、空を見た、
槍のような雨が、
顔に降り注ぐ。
二人の間に、
冷たい空気が張り詰める。
「答えろォオ!!!」
男の声が路地裏に響きまわる。
「………」
「俺はッ…今まで組織の為に色々な犠牲を払ってきた!親、妻、子供、兄弟!!すべてのものを犠牲にして今まで組織に使えてきた!!なのに!なのに何でお前ごときの裏切りで!俺が死ななければならないんだッ!!」
「そう言う所なんじゃねの?」
「……は?…何が言いた…」
「俺は…アイツの事を一度もボスだと思った事はねぇ」
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