青年と美しい娘

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春になってたくさんの命が生まれた頃、二人はたくさんの人たちに心から祝福されながら永遠を誓いました。 すっきりとした青空の下、二人と招待されたお客さんは外に用意された美味しいご飯を食べて幸せを分け合いました。 二人の人生を変えた天使様も人の姿をかりて結婚式に出席、祝福して、彼に彼の本当の目を返してあげました。 今度は痛くないように。 少しだけ違和感を感じた彼は目を擦り、それに気付いた彼女が彼の目を覗き、目が合うと二人は笑いあいました。 天使様は彼女に嘘を教えていました。 彼が苦しみと引き換えに変えられた目は、美しくない人を美しく見せる目ではありません。 清らかで優しい、人のことを思いやることのできる心、つまり人の内面の美しさを見せる目だったのです。 「僕は美しい人が好きだよ。心の美しい人がね」 天使様はにっこりと微笑むと、人から本当の姿に戻り、二人のほっぺにキスをして青空に消えました。
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