青年と美しい娘

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ある所に、恵まれた青年がいました。 顔は悪くなく、富もそれなりの地位もあり、何不自由なく暮らしていました。 そんな彼には、容姿がとても美しい彼女がいました。 彼女は彼にとって大きな自慢でした。 なぜなら、容姿が美しい女性を彼女に持つと、周りから羨ましいという目で見られるからです。 彼はこの視線が何よりも好きでした。 優越感に浸るのはなんとも心地よいものです。 ですから、彼が今まで付き合ってきた女性も、容姿が美しい女性ばかりでした。 しかし、そんな彼には一つ不満がありました。 それは、彼女の態度が横暴なことです。 多少の我が儘は許せますが、彼女の我が儘に限度はありませんでした。 自分の意見ばかり主張して、彼の話しなど聞きません。 欲しいものは、例えばそれが大金を要する値段のものでも、手に入らないと怒り出します。 また約束もすぐに破ります。 彼はそれらをとても不満に思っていました。 けれども、それを理由に別れたりはしません。 どんなに我が儘でも、容姿が美しければ全て許します。 今までの彼女も同じように我が儘でしたが、彼は許してきました。 そして最後は、必ず彼がフラれるのです。 今回も彼は、彼女にフラれました。
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