12人が本棚に入れています
本棚に追加
それから毎日、彼は彼女に会いに行きました。
最初のうちは彼女も困惑していましたが、時が経つうちに笑顔が増えていきました。
彼は彼女のためにたくさんの花をあげ、彼女も彼のために料理を作りました。
そして、いつしか二人は恋人同士になりました。
彼は美しく、しかも今までの恋人と違って謙虚な彼女を深く愛し、友人たちに自慢しました。
「彼女は本当に美しい。それなのにそれを傲らず、いつでも他人を思いやる優しい女性だ」
彼女はあまり外には出たがらなかったので、友人たちは彼から彼女の話を聞くだけでしたが、そんなに素晴らしい女性なら一度は会ってみたいものだと思い、彼に頼みました。
彼も悪い気はしないので、二つ返事で友人に彼女を会わせることを約束しました。
早速彼は彼女に、友人たちに会ってくれるよう頼みました。
しかし彼女は悲しげな顔をして、ただただ首を横に振りました。
「私を人に見せたって自慢にはなりません。お友達には悪いけれど、断ってください」
どんなに説得しても、彼女は承諾してくれません。
彼は仕方なく、友人たちに理由を話して断りました。
友人たちは皆ガッカリしましたが、一人が
「だったら窓からこっそり覗けば良い」
と言いました。
彼はやめるように言いましたが、彼女を見たいと思う友人たちの心を止めることは出来ず、結局友人の一人だけが彼女の家に行き、窓から覗いてくることになりました。
その友人が覗きに行っている間、彼は心の中で彼女に謝り続けました。
しかし友人が帰ってくると、罪悪感など忘れたかのように、彼女はどうだったかとしきりに尋ねました。
友人は困惑したように、彼に聞きました。
「彼女のどこが美しいのだ?」
最初のコメントを投稿しよう!