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「私はあなたのことが好きでした。一言で良いから、あなたと話してみたい……そう思っていたある日、夢に天使様が現れたの。『あなたの願いを叶える手伝いをしてあげる』って。夢の話だし、最初は私だって信じなかった。けれど、現実だった」
彼女は一気に話すと、また泣き出してしまいました。
彼は頭の中で反響している彼女の言葉を、必死に整理しようとしました。
「……帰って」
彼女は小刻みに震えながら、小さく呟きました。
「……こんな君を残して帰れないよ」
ポロッと、何も考えずに出た言葉。
彼は自分の言葉に戸惑いました。
美しくない女性に、優しくしている自分。
「帰って……帰って……」
呟き続ける彼女の拒絶を苦しく感じている自分。
なぜ自分は彼女の真実を知ってもなお、彼女の横にいるのだろう……
彼の中で何かが弾け、気付くと彼女を抱きしめていました。
「やめて……私はあなたに抱きしめてもらう資格なんてない……。お願いだから離して……」
離れようとする彼女をより強く抱いて、彼はゆっくりと、優しく、彼女の頭を撫でました。
「離すもんか。俺は君が好きだ。最初は君の顔が好きだった。けど、今は顔なんてどうでもいい!君の顔が変わっても、気持ちは変わらない」
それでも離れようとする彼女を彼は愛しそうに抱き続けました。
しばらく抵抗を続けた彼女も、最後の涙を流すと、おずおずと彼を抱きしめました。
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