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「空には雲があるだろう。」
そう言い、指で真っ白な雲をさした。
指先から視線を外し、雲へと移す。
空が透き通るほど青くて、白い雲は空の青さを主張していてまさに絵に描いたような空だった。
「雲が空に咲く華のように思えたんだ。」
「空に咲く華?」
「青い空に白い雲が咲いてるように見えたんだ。」
真面目な横顔を見て、思わずクスっと噴出してしまった。
「何故笑う?」
不機嫌そのもの。
だめだ。笑いが抑えられない。
どんどんと柏陽様の眉間に皺が寄っていくのが分かるのに、押さえようと思ってもどんどん笑いが出てきてしまう。
「だって…あんまりにも似合わないことを言うから…。」
途切れ途切れに言葉を話す。
ようやく治まったと思ってもまだ苦しい。
ここに来てこんなに笑ったのは初めてかもしれない。と思うほどに笑った。
「……。」
眉間にしわを寄せて黙ってしまった柏陽様にすみません。と言ったのだが、おそらくわっちの顔がまだ笑顔だったことが柏陽様の眉間の皺をもっと深くしてしまった要因だろう。
「もうよい。」
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