第8章

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魔力の痕跡とは所謂魔法を使った後に空気中に漂う残留魔力のことである。 魔法を使うためには魔力を消費するのだが、正確に言うと魔力は魔法となって体外に放出される。 それは身体強化などの自分の体内への魔法も例外ではなく、魔法こそ体外に放出されないものの、極少量の魔力が体を動かす度に体から離れ、残留魔力となって空気中に漂うこととなる。 残留魔力は時間と共に分解され、自然界に存在する魔力(これをマナと言う)となり、そのマナを人は取り込み、自身の魔力となる。 人によって魔力量が違うのはマナを取り込み、魔力に合成するのに取り込めるマナの量が決まっており、また、マナを取り込んでもすぐに魔力へと合成できるわけではないからである。 さて、何故残留魔力から犯人を特定することが出来るかというと、魔力の成分というようなものがひとりひとり違っているからである。 そのため、魔法が使われた事件ならば、残留魔力を調べれば犯人がわかるのである。 しかし、今回の犯人は手強かった。 魔法を使ったはずであるのに残留魔力が感知されないからである。
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