第四話

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ある日の学校帰りに、翁長にと一緒に街の大型書店にやって来た。 僕は、久しぶりに来た本屋があまりにも大きくて、目が丸くなった。 「何、目を丸くしてるんだ?」 「あ、本屋が大きいの、はじめて」 「…本屋、はじめて?」 「うぅん。ここははじめて」 「ふぅん…。まぁ確かに学校帰りに寄るには、ちと遠いな」 そう言って、翁長はさっさとコーナーに行ってしまった。 何を買うのか、気になるし、ほしいモノもないので、後に付いて行くことにした。 「……。ひよこか、お前は」 ひよこって何。 なんで僕はひよこに、例えられなければならないのだ。 「まぁ、いいか。お、新刊出てんなぁ」 新刊、いっぱいある。 翁長はどれを買うのかな。 「……。翁長」 「ん?」 「それ全部買うの?」 「?あぁ、そのつもりだが?」 学生で、しかもバイト禁止の厳しい学校で、それだけ買える金銭は一体どこにあるのだろう。 疑問に思っても、決して言葉にはしない。 それが友情と言うものです。 「なんだ?」 「なんでも、ない」 黙っているのも、友情です。 .
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