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小さく溜め息を吐いた翁長は、僕をレジへと移動させた。
シリーズなのに、一から見なくてもいいのかな。
会計を済ませ、寮にへと続く道を無言で歩く僕と翁長。
長い沈黙を破るのは、僕だった。
「あ、の。シリーズは」
「何で買うんだ?」
「シリーズ…。一から」
「それこそ篠塚に借りて読めよ」
「篠塚は…。好きな作者だから、買ってみてほしいって…」
どうして、翁長は怒っているのだろう。
今までに、何かマズいことを言ったのだろうか、してしまったのだろうか。
「……何?」
「え?」
「言いたい事あるんだろ?」
「…。怒って、る?」
「怒ってる?なんで」
「声、怒ってる…」
「怒ってねぇよ」
「…シリーズ…」
「…。買う必要ないんだよ」
「え?」
買う必要がないって、一体どういうことだろう。
中身を知っている、のかな。
「…いつか、お前に話を書くネタを提供してほしいって、言ったよな俺」
覚えている、その時から僕らは会話をちゃんとするようになったから。
僕らの起点。
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