第四話

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小さく溜め息を吐いた翁長は、僕をレジへと移動させた。 シリーズなのに、一から見なくてもいいのかな。 会計を済ませ、寮にへと続く道を無言で歩く僕と翁長。 長い沈黙を破るのは、僕だった。 「あ、の。シリーズは」 「何で買うんだ?」 「シリーズ…。一から」 「それこそ篠塚に借りて読めよ」 「篠塚は…。好きな作者だから、買ってみてほしいって…」 どうして、翁長は怒っているのだろう。 今までに、何かマズいことを言ったのだろうか、してしまったのだろうか。 「……何?」 「え?」 「言いたい事あるんだろ?」 「…。怒って、る?」 「怒ってる?なんで」 「声、怒ってる…」 「怒ってねぇよ」 「…シリーズ…」 「…。買う必要ないんだよ」 「え?」 買う必要がないって、一体どういうことだろう。 中身を知っている、のかな。 「…いつか、お前に話を書くネタを提供してほしいって、言ったよな俺」 覚えている、その時から僕らは会話をちゃんとするようになったから。 僕らの起点。 .
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