第五話

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翁長が電話に出てから、重い沈黙が流れた。 翁長は、電話先の人に怒鳴っているようだった。 「……翁長?」 「あぁあ!」 翁長は、頭を掻いて苛立ちを露わにしていた。 僕はそれにびっくりして、体がビクついてしまった。 「ごめん。急な仕事が入った」 仕事って、小説書くことかな。 僕の相手をしていられないって、事なのかな。 「気にしない…」 「休みの日も、やらなきゃ間に合わなくて…」 「……」 あぁ、そう言うことか。 僕との約束なんか、気にしなくてもいいのに。 「気にしなくて、いいよ」 「……。間に合わせるから、動物園に行こう」 「…無理しなくても」 「絶対に間に合わせる」 翁長の目には、炎が見えた気がした。 動物園に、そんなに行きたいのか。 だったら、答えは決まったよね。 「待ってるよ。翁長が終わるまで、待ってる」 「…ありがとう。がんばるよ」 そう言って、翁長は机に向かい始めた。 僕も、邪魔しないように、翁長の書いた小説を読むことにした。 .
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