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しばらく、翁長に抱きついていた僕は眠っていた。
目を覚ますと、隣には翁長の眠っている姿があった。
迷惑だったかな。
疲れて帰ってきてる筈なのに、しなければならない仕事もある筈なのに、僕が離さなかったから。
「ごめんね」
僕は小さく呟いて、翁長のベッドを出ようとした。
次の瞬間、ベッドに引き戻った。
いや、引き戻された、が正しい。
僕の体は、翁長に抱き寄せられていた。
「翁長…?」
「もう、大丈夫なのか?」
「…平気」
真っ暗で、月明かりしかない部屋の中で、翁長の表情は少しだけ確認出来る程度だった。
「なら、大丈夫か」
「うん。あ、の」
「ん?」
「仕事は…、いいの?」
「あぁ、平気だよ。間に合わせられるから」
やっぱり、動物園に行きたいんだ。
僕は、翁長の力になれるかな。
「あの、僕は…、翁長の力になれる?」
「は?」
「仕事の手伝い」
「手伝いって…」
「早く終わるように」
そうしたら、動物園に行けるしね。
「大丈夫だよ。俺は出来るから」
そう言って、僕の頭をポンポンとした。
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