夜葬序曲

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家の中は真っ暗だ。 玄関の照明のスイッチを手探りで探し当て、明かりを点けようとする。ややあって指先が何かを探り当て、同時にカチッと無機質な音と共に何かを押し込む感触を覚える。 ……が、どうしたのだろう、肝心の明かりが点かなかった。 怪訝に思って何度かトライしてみるが、カチッ、カチッと暗闇に小さな音が響くだけで、結果は変わらない。 「壊れたのか? そろそろ替え時なのかね……」 ブツブツと独り呟くが、それで明るくなる筈もない。仕方なく灯りを点けるのは断念し、暗い廊下を進み始める。 住み慣れた我が家だ、大して問題もなくリビングへと続く扉まで辿り着くまでには大した時間は掛からない。ドアノブ手探りで探し出し、ゆっくりと開く。 「……ッ!?」 いつもの我が家。 もう何年も暮らしているから、部屋の中の様子なんて最早見飽きている。勿論、何の感情も起こり得ない。 けれどその時は、一瞬心臓が止まりそうになってしまった。 闇の中に沈んでいる、我が家の居間。その中心に有り得ないモノ存在しているのが目に飛び込んできたからだ。
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