夜葬序曲

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窓から入ってくる街灯の明かりの中に、ぼうっと浮かび上がっている黒い人影。 咄嗟に、ダグラスは身構えていた。 「誰だお前は!?」 どうやってこの家に入ってきたのかとか、目的はなんだとか、聞きたい事は色々あるが、取り敢えずそんな事は後でいい。 まずはコイツが誰で、こちらにとって敵か味方か確かめなければ。 「……」 人影は、こちらの言葉に応えなかった。ただ黙ってその場に立っているだけだ。 「ここは俺の家だ!さっさと出て行かないと住居不法侵入で訴えるぞ!」 「お前の家、ね……」 当然の常識をまくし立ててやると、やがて影はボソリと口を開く。 氷の風に頬を撫でられたような気がして、ダグラスは鳥肌が立つのを感じた。 それはただの一言だったが、目の前のコイツがヤバいという事が分かるには充分だった。
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