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「喰らいやがれ!!」
かけ声と共に、魔法陣がバチバチと音をたてて放電。次の瞬間、陣の中心から青紫色の雷光が影に向かって放たれる。狭い室内に一瞬だけ光が溢れ、轟音が鳴り響いた。
人間如きが、雷を避けられる筈もない。影はマトモにそれを喰らった。
「……ハッ」
確かに、マトモに喰らった筈だった。
だが、轟音の余韻を残したリビングに響いたのは、苦悶の声ではなくて失笑だった。
「!?」
慌てて次の術式を組もうとするが、既に後の祭りだ。
「捕まえろ」
影がボソリと呟く声がしたかと思うと、直後にダグラスは体に衝撃を感じた。何が起こったのか分からないでいる内に、今度は背中に衝撃、同時に派手に物が壊れる音。
「ぐぁ……ッ!」
壁に叩きつけられたと気付くのには、少し時間が必要だった。
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