ただではすまない……

2/10
前へ
/59ページ
次へ
俺の名は弥勒王 文太。 今年で17になる高二のガキだ 。 ガキと言ってもしてる事ぁガキらしかぁねぇと思うが。 俺はさっき一人でヤクザから金をふんだくった。 俗にカツアゲといわれるやつだ。 しかも一人相手じゃねぇぜ? 十人は越えていたんだ。 嘘みたいだろ? 俺ぁたま~に天下の神威町に来てはヤクザから金をふんだくってんだ。 今回は二十三万。途中で結構逃したにしろ奴(やっこ)さん達も最近は不景気なんだろ…… 失敗して袋叩きにされた際の治療費やヘマした時の葬式代の方が高くつくかもしれない。 この前カツアゲした時も金額に大した差はなかった。 やらない方が得は得だ。 でもやる…… 俺は金に困ってはいるがそれが理由じゃねぇんだ。 だいたいこんな事をして加藤が負けようが、五体満足でいられる筈がない。 でもやられた奴等も奴等なりのプライドが有るから騒ぎになる前にほとんどがやられたチンピラ達だけで解決しようと俺を闇討ちするんだ。 でも一回俺にたたまれたやつらに俺が負けるはずがねぇ。 強い俺に返り討ちにあって持ってる金をまた俺にとられる。 こういうのを鴨が葱背負ってくるってんだよな? でも何度も言うけど金なんか本当はそんなにいらねぇんだ 。 俺が欲しいのは昼間の、堅気の喧嘩じゃ味わえない独特の緊張感なんだ。 そんな事は置いといて、俺はとりあえず数えた金を財布にしまって再び街を歩きだした。 なんだかんだ言っても金はもってて困るもんじゃねぇし、都内に一人暮らししてる俺には多めに必要だからな。
/59ページ

最初のコメントを投稿しよう!

18人が本棚に入れています
本棚に追加