桜の咲くころ

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いつしか私たちはしわしわの おじいちゃんとおばあちゃんに なっていた。 木枯らしの吹く頃、彼は体調を 崩し入退院を繰り返すように なった。 そして桜の舞い散る季節に 彼は遠くにいってしまった。 私はポケットに入れた彼の 愛用の手袋を握りしめ、今日も デートに出掛ける。 いつもと同じ道を。 そこにはいつも彼がいるから 寂しくはない。
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