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「やったー!僕の勝ち!」
僕は一番手前のブランコに手を
かけ、振り向きながらサトシに
言った。
そして僕らは並んでブランコを
こいだ。
何も考えずに一生懸命こいだ。
公園のイチョウの木や遠くの山
が見えている。
風が僕らに向かってくる。
僕らはただ風の中にいるのだ。
どれほどの時間がたったのだろう。
近所のおじいちゃんがよぼよぼの
柴犬を連れて散歩している。
サトシが言った。
「やるか!」
犬の散歩のおじいちゃんが
僕らの時計代わりなのだ。
風を切る音が激しくなった。
サビかけのブランコもギィギィと
音を出し揺れている。
空が見える。雲がオレンジに色付い
ている。
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