眠れぬ夜の物語

桜の咲くころ

彼は定時制高校に通う高校２年生

だった。

お父さんの経営する会社が

不景気の煽りを受け倒産して

しまったのだそうだ。

どうして笑顔でいられるの？

と彼に聞いたことがある。

彼はひとしきり考え

｢う～ん、辛いからかな？｣

と答え、私がキョトンと

していると｢幸せだから。｣

と私の目を見て笑った。

そして｢ありがとう｣と言って

おでこにキスをした。