第一章

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中に入ると、そこには様々な魔法の実験器具や書物。 そして…、大量の人形…。    「いいえ。ここは森の中にあるただの家。」  「それはわかってるけどさ…ぉ、ありがとう。 ってこいつらはなんだ?」   手を出してきた人形に帽子を渡し、椅子を引いてくれた人形に礼を言いつつ座った魔理沙は、疑問を少女に投げかけた。    「人形よ。」  「いや、それはまぁ、見れば分かるけどさ…。」  「分かるなら聞かないで。」  「いや…、まぁ…、そうだな…。」   ………    (うっわぁ…、気マズい…。愛想悪すぎだろうよ…。 どうしようか…。うん、とりあえず情報収集だぜ。)    「なぁ、こいつらはどうやって動いてるんだ?」   テーブルの上をトコトコ歩き回っている人形をつつきながら、聞いた。    「私の魔力。」   対面に座って右手で本を読みながら、少女は答えた。その左手は絶えず、小さく、細かく動いていた。    (おぉ…、終わりかよ…。)  「へぇ、自律してるわけじゃないんだな。」   何の気もなく魔理沙は聞いたつもりなのだが、対面に座る少女は、ほんの少し、目を閉じて短く、  「えぇ。」 と、答えた。 何故だか先ほどよりも距離が遠くなった気がした。    「それで、」 本を閉じて、少女は口を開いた。  「なんの用なの?」   出された紅茶を飲みつつ、  「んー、用らしい用は無いが、まぁ要は無いな。」    「そう。」   少女はまた、本に手を伸ばした。
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