うつりにけりな

１

この前の夏、職場のみんなで、バーベキューをした。

車で二時間ほど離れたところにあるダムの近くにバーベキュー場があり、野菜や肉を大量に持ち込みバーベキューをした。
メンバーはいつもの飲み仲間で、宴会部長の松井さん、ちょっとヤンキーっぽい城田さん、同期の羽菜、そして、妻子もちの茅野さんと私の五人。
気心が知れている分、年甲斐もなくはしゃいで、運転手役の松井さん以外はほろ酔いになっていた。

その帰り道。
松井さんの車は五人乗りで、ギュウギュウになって乗っていた。
後部座席の真ん中に座っていた私は、右側にいた茅野さんの肩にもたれるようにして寝ていた。
途中、目が覚めると、なぜか茅野さんに手を握られていた。

私は茅野さんのことをカッコ良くて好きだなぁと思ってたから、嬉しくてそのまま握られたままもう一度寝てしまった。