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「ユキ、おせぇよ」
「ゴメン雅也~。ホームルーム長引いちゃって」
私は顔の前で手を合わせて言った。
「まぁ、いいけど。それにしても寒みー」
雅也はホッカイロをシャカシャカならす。
「あ、いいもん持ってんじゃん。貸して」
「やーだね」
そう言って雅也は歩き出す。
「ちょっとぉ。かわいい彼女が風邪ひいてもいいの?」
そうごねながら追いかけると、雅也は「しょーがなねぇな」と言って私の手を握ってきた。
「雅也の手…全然温かくないんだけど」
「うっせ!」
うそ。本当はどんなホッカイロよりも全然温かい。
心の中でそう思いながら握り返す。
そのまま私達は、手をつないで再び歩き出した。
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